シアターピエロ

How are you getting along these days, baby?

わたしは笑うの 天を抱いて

キャッチコピーをつけるとしたらこれ、なのだそうですだ

すごーーーーーーく今更ながら
天野月さんのアルバム「天の樹」
7月25日〜7月31日までのオリコンウィークリーチャートで22位を獲得いたしましたね


天野史上過去最高位です
私、普段、順位にはあまりこだわらないほうなんですけど(たくさんの人に聴いてほしい気持ちはあります)、
快挙だと感じたし、謙遜でもぱっとしないなんて言わなさんな、って思うたですよ
だから、これですべてめでたし、みたいな単純な話じゃないとしても、
ただ純粋におめでとうと伝えたいです


また天野を聴いてるのか、
いつも天野じゃないか、
どんだけ聴くのか、
飽きないのか、
たまには違う何がしかも聴けよ、
幅広く音楽を聴けよ、
というくらい普段から蟲は天野ばかり聴いていることは周知の事実ですが
ここしばらくは天野の中でも「天の樹」をヘビーローテーションでした まあ、そうなりますわな
ので 感想なんだかよくわからないものを書くだの 参考にならんだの

この部分の歌詞が個人的にぐっとくる、というのを各曲の最後あたりに書いておるのです ---
盤を外すとあのひと(?)がいてふふっとなる
1. EUPHORIA(ライナーノーツはこちら)
イントロのチェロから淀みなく続く疾走感と、清々しさ タイトル通り多幸感で溢れる
嬉し泣きなんかしたことないけど、泣きだしたくなるような眩しさがある
叫ぶようなつっこさんの歌い方が好きだ
なんてかっこわるいんだと思った けどね、つっこさん自分で言ってる通り、それがとてもかっこいい

目立たないようにしあわせを隠すのは、空気を読む、というだけでなく、
足元をすくわれないように って意図もあるんだろうなと
しあわせをね、ぶち壊してやろうと、高く伸びた鼻をへし折ってやろうと思う人は少なくないだろうから

他人の目や騒音やしがらみを無視してひた走ることは難しい
空気なんか読まなくていいけど、迷惑をかけるのはいけない

私は落差を感じたくない、極力単調に生きようとする、変化を嫌う、癖のようなものだ
永遠も刹那もすかすかと通り抜けてゆくわ
というか、ただしあわせを謳歌すること、に罪を感じる こともあるでよ
まあ嘘くさいだな は、ど、どのあたりが?笑 ってなるはずだ
私の言うことはあちこち矛盾しているだろうから適当に解釈されればいいと思ってる
良いようにでも悪いようにでもなんでも できることならあずゆーらいくでありたい

だけど競争社会ね
競争するならば、蹴落とすならば、自分のしあわせや理想を追求していった結果に、であってほしい
誰かを引きずりおろして抜け駆けしないように踏み付けてみな泥沼の中、なんてのは競争と違う
あほらし
ただ気に食わない人を撃ち落とすのはまた別だんね、これ

比べたってしょうがないことは気にせずにトマトを育てる、が理想 むつかしいけど

「醜態晒して走れ」

2. 東京タワー(ライナーノーツはこちら)
なんという昭和
このひとことですべて語り尽くせるんじゃないかと 笑
癖になるアレンジとメロディ
「僕の選ぶプランに飽きはじめてた事」の歌い方がイケメンすぎてはぁっ…となる
かなしみで眉毛が寄る、否応なしに寄る
間奏で小さくチンチラチンチラ(すまんいい表現が浮かばなくて)鳴ってるのが個人的にツボだ
「僕は立ち尽くしている」部分は、笑うところじゃないんだけど思わず吹き出してしまった
すてきすぎる 徹底して昭和ゆえ、なおさら東京タワーに感情移入せざるを得ない
スカイツリーにいちばんの座だけでなく君まで奪われたらそりゃメランコリーにもなる
アウトロではひとり飲んだくれて眠る東京タワーの姿を想像してしまう 周りに誰もいないのだよ…誰も…涙
(我ながらどんな光景かと)

いちばんでいることはプレッシャーだ
いつなんどき蹴落とされるか不安で仕方がないでしょうきっと
ずっと2番目、3番目でいるのと いちばんから2番へするりと落ちてゆくのとではわけが違う
挽回するにしたってタワーがこれから伸びるわけもなく 何をもって君を取り戻せばいいっていうんだ 的な
切ない あぁぁ切ない 妄想が広がる
むしさん自身はいちばんとかわりと無縁だけどね
いちばんと言われてもだいたい信用しないもの いけしゃあしゃあと嘘を言いなさるね としか
嘘でもええだ、と思わない限り信用するかよ 嘘でもいいと思ったら、なんでも信じる アホの子

「君が欲しがった永遠は嘘なの」

3. 天の樹(ライナーノーツはこちら)
タワーの気持ちでいっぱいになっているために、冒頭のチェロでとてもびっくりする
ああ、噂の脅威が迫ってきた、的な これは冗談

愛があるからこその孤高、なのかしらと

チェロの音色と絞り出すような歌声が切ない
タワーの「ひとり」とはまた違った「ひとり」
今回のアルバムは全体的に隔たりを感じる曲が多い気がした 繋がっていたいが故の隔たり というか
その中でも、いちばん、わたしに触れてくれるなと言わんばかりの曲

あらゆる対人関係に永遠なんてないと思ってる
形あるものいつかは壊れる  プラス、割れた器は二度と元に戻らない
殴って殴り返されても繋がっていたいと思ったとしても、互いにそうでなきゃ成り立たない
どちらかが逃げ出して終わりだ
三者が壊していくこともあるわね
守るべきもののために故意に壊すものもあるわね

孤、でいるからこそ研ぎ澄まされていく感覚が好きだ
とげとげとした何か
なくならないのね、と思った 「汚れた犬」のときもそうだ
自身をえぐってえぐってえぐり続けて、だからこそ人と共鳴していられる そんな印象を受ける

私は甘ったれだから、尊さ、潔さ、あこがれを感じると同時にどうしてもさみしさを感じてしまう
身勝手でくだらなくて何も生み出さないかもしれぬ感情が湧きあがってくるの
念のために書いておくが同情とは違う
自分をえぐって何かを表現することは、決して「かわいそう」ではないからだ

まあ、こういう曲じゃないんだろうけども

いつだかつっこさんは、「愛のないヤジはロイター板」と話していた
ヤジとは違う、誰かの色褪せてしまった想いすらロイター板に変え、高みを目指す強さが愛おしい

PVはこちらで視聴できるでよ
途中、何をつぶやいてるんだ

「あなたのくれたぬくもりの言葉は くすんだ未来もきらめくようでした」

4. CANDYMAN(ライナーノーツはこちら)
ごますってんじゃねーよてめー、であるね

アレンジもメロディーもとてもポップ、テンションは低め 歌詞がたいへんシニカル 聴いていて心地良い
「サヨナラあげるわ〜↑あ〜↓ぁ〜↑」のあたりとか特に好き

でも怒っている 静かにキレている、の類に聞こえる ふるえる

都合のいいことばっか言ってる人ほど窮地に立たされたとき真っ先にいなくなる
ずっとそんな調子でいるなら薄っぺらで浅はかでなんの価値もない
そりゃー、楽ですわよ、否定されないって まさに麻薬で、ただ脳を麻痺させるだけの快楽だ
けど、中毒になる前に、
あなた私を受け入れてるわけじゃないのよね、受け流してるのよね?と気付いてしまったらもうだめだ
口をついて出る醜悪なことばすべて、噛み砕かれるでも洗い流されるでもなくふわふわ漂って空気に溶けていくのが見える
自分の吐いた毒を元通り吸いこんで、私の腹にはひたすら泥がたまる
みたいな イミフだの
媚び諂う人だけでなく、「お前がどうなろうが知ったこっちゃねえ」な人もCANDYMANって感じがするでよ
どっちも上辺だ 前者は保身、後者はめんどくさいんだろうなあ 私も薄っぺらいもの

とか言いながら
私は人を好意を持った対象を褒める、それはもう、胸やけするくらいに褒める
褒めたいものを褒めてるとき、とてもしあわせ いつか嘘になってしまうとしてもだ
まあ自己都合で褒めそやすこともたまにはありますわで あまりにも馬鹿正直でいたら詰むだの
あたしの気持ちもあなたの気持ちもわからんでもなく つまり心地良いとか言うとあれか、どえむか。

「あなたを蹴散らす火薬を抱えて」

5. くれなゐ(ライナーノーツはこちら)
零〜眞紅の蝶〜」のテーマソング
ドラマチック、メロディアス、壮大、いろいろ言った気がするけど
気持ちとして全部まとめようと思ったら、焦燥感、にいきついた
絆と表現すればすてき、かけがえがないと同時にがんじがらめな結びつき
互いに負い目がある 「零」に絡めて見てもそうだし、絡めなくてもそう
本来はひとつであるべきものというところにとてもぐっとくる

という歌詞世界の良さについてうまく伝える力が私にはないので、
メロディーが本当にうつくしいことを再度強調する 歌ってると爆ぜそうになる

「君は逃げてゆく 閉ざした扉を いくつも擦り抜けて」

6. サンドリヨンの番犬(ライナーノーツはこちら)
この曲については散々書いた、と思ったらそうでもなかった
春キャンプでCDをいただいたので、今のところ「天の樹」の中ではいちばん多く聴いている
その時々の気分によってしあわせだったり、照れたり、かなしかったり、心苦しかったりする
たまに、あれ…むしさん女じゃないのかもしれないと思うね 笑

某結婚式の定番ソングを思わせる乙女ちっくアレンジ、春らしい軽やかさ、
攻撃は最大の防御なり、な歌詞
いろいろ思っても結局は、なんだかしあわせを感じる曲だ
「サンドリヨンの番犬は、 歌詞を書きながら、 個人的には 「たくらめない」じゃなくて 「たくらまない」だなぁ、 と思ったりしていました。」には、はげしく納得
たくらめないとか嘘だろ、絶対嘘だ、つっこさんはハイパー策士だ、と思っていたので(←失礼)

私がサンドリヨンだったらガラスの靴を叩き割って逃げる
別に宝物も何も持ってないけど、番犬がいるとしたら撫でるだけでは飽き足らずなぎ倒していただきたいわ、
生きるか死ぬかの勢いで などと考える
何様かと そげな価値がどこにあるのかと
番犬、私のようなものならビーグルあたりしか浮かばないだね 弱そうだ だがかわいい

女はめんどくさすぎる

「灰まみれに燻るあたしを 丸ごと全部 飲んでくれますか 今すぐ」

7. ニワカアメ(ライナーノーツはこちら)
花たんへの提供楽曲、セルフカバー 歌ってみた動画でいちはやく聴けた
何度聴いても恨み節
晴れた空の上にひっそり浮かんでいた雲の向こう側にずっと滞っていた雨が、
一気にこぼれおちてきた感じ おう そのまんまな表現だなこれ

わたしの孤独は重たかったでしょうか、と問われればそれはもう尋常じゃない重さだろうと
重いからこそ価値があり、価値があるからこそ受け止めきれないジレンマだ 書いてて混乱する

思うことは、ニワカアメだから傘なんてさしているわけがない、だの
だからびしょ濡れになるんだけど、いえわたくし濡れても平気ですので、すぐ乾きますので、
なんて雨があがれば明るい顔をしているはずだ
そういう強さを感じる

壊れそうなのにけして壊れない、 泣きそうなのに笑ってしまう、
その、 破壊へ向かう境界線の上でゆらゆらと、静かに、でもがむしゃらに綱渡りしてる光景は、
とても美しいなと思うだ。
by天野

「雨の中走る 走る踵の音」

8. ドロップキック(ライナーノーツはこちら)
なぜ歌ったシリーズ
maiちゃんへの提供曲ね maiちゃんに限らず、つっこさんは方々に詞と曲を提供している
どれもが、自分の世界観を保ちつつも提供相手にぴたりとはまる、なもの
それでありながら、「ニワカアメ」のようにつっこさん自身にもぜひ歌ってほしい!と思わせる曲も多い
なんだけど、
なんだけど、
「ドロップキック」だけはさすがに想像できんわこれ……とむしさんずっと思っていた
あまりにも乙女ちっくでかわいらしいから 笑 「ドロップキック」は元々好きだの
そしたらここにきてまさかのセルフカバー 動揺を隠しきれない

聴いてみた感想は やだ、かわいい
ただ、花たんがコーラス参加している 花たんのコーラスはもっとかわいい 初音ミクばりの2次元ボイスだった
つっこさん自身が言っていたように(花たんと対談したニコ生で言うてたね、たしか)
ふたりを比べてしまうとつっこさんの偽物感はたしかに際立つ
ツンデレキャラがね、デレきれない感じというか だがそれがまた良い サビで乙女が剥がれてる たまらない
ゆえにつっこさんのドロップキックは受けたくない 骨折られる 致命傷 ※とても褒めてる

私 一生言わないだろうな、と思う
「男子失格!」

9. 光る魚(ライナーノーツはこちら)+追記
深海魚の歌
私のレベルでは、わかりやすくああやこうや言えないのが悔しい
けど、いちばん好き
この曲を聴いていると、個人的に「ジョゼと虎と魚たち」を思い出す 映画のほう
好きだのあの映画 残酷なところがよい

深海魚はどうしてあんなに深いところに生きているのだろう、と聞かれたら、
「何かのはずみでうっかり深いところまで潜ってしまって
深海の水圧に慣れて浅瀬(?)まで上がるに上がれなくなってしまって
じゃあここで適応していこうぜってなって進化を続けた。」
あるいは
「生まれつき深海にいるから、深海以外で生活すんの無理だろおれ、と思っておる。内臓飛び出ちゃう。」
と答える ついったにも書いたやつだ

ただ、ずっと深海にいるのだとしても、浮かび上がって再び沈んでしまったのだとしても、
光を失うことはないんだろうなと

エフェクトのかかった歌声が深海に潜っているようでふわふわ眠くなる
なんだか今までにない感じの曲かもしれぬ

「愛されて 愛を知るほどに 水面にしがみついて動けなくなる」

10. ソラゴト(ライナーノーツはこちら)
ここまでずっと存在していた隔たりを感じさせない、穏やかでやわらかい
夢、とストレートに表現するのは照れるから「ソラゴト」だそうで 気負わない表現が良い
ふっと緊張がほどけたような安心感で満ちる

アウトロから再び「EUPHORIA」に繋がっていく
夢は容易に叶えられるものじゃない 叶っても、そこで終わりじゃない
終わりがないのは時に苦しい、だけど乗り越えた先にあるものは多幸感だ
何度だって走り出す、棘を携えて
みたいな みたいなあれ(ここまで書いて若干照れてきた)

つっこさんの行く先を私も密かに見つめていたい、と感じさせる 孤独とやさしさで溢れておる
樹のようだなあと思った

「神様に見付からぬように
ここであなたの傘になる ずっと」


全体を通して なんだか大げさかもしれない なことばかり書いてもうた
それぞれの楽曲はばらばらなのに違和感なく繋がっていく、
えぐられても、突き放されても、ドロップキックされても 笑 不思議な心地良さがあるアルバムだった
すきや

長っ